☆むらぼしの便り☆(No.95)・・・どうして季節によって見える星座が色いろに変わるの?
星空観望会では、参加者の皆さんにその日に見えている星座を紹介して実際に観て頂くことが多いです。
例えば、春だと「しし座」、夏だと「さそり座」、秋だと「みずがめ座」、冬だと「おうし座」といった具合いです。
そのため「季節によって見える星座が色いろに変わるのはなぜですか?」という質問が寄せられることがあります。
皆さんがこれに答えるとしたら、どんなふうに答えるでしょうか?
季節によって見える星座が移り変わっていく理由をひとことで言えば、
「地球が太陽の周りを公転しているから」
です。
地球の公転をメリーゴーランドに例えてみましょう。
メリーゴーランドの中心には太陽が居座っています。
地球は一頭の白馬だとしましょう。
メリーゴーランドの周りには例えば「黄道十二星座」と呼ばれる星座たち(誕生月の星座です)が配置されているとします。
メリーゴーランドが回転すると、見える周りの景色は次々と変わっていきます。
地球の公転もこれと同じです。
公転するに連れて、見える星座も移り変わっていきます。
メリーゴーランドと地球の公転とで異なる点はそのスピードです。
メリーゴーランドではあっという間に一周してしまいますが、地球は1年間かけて一周します。
もう一つ異なる点は、メリーゴーランドでは白馬に乗りながら周りを見渡せばそれなりに景色を楽しめますが、地球の公転の場合は見える範囲は常に「外側半分」とはっきり決まっている点です。
外側半分とは太陽の光が地球自身によって遮られる夜の部分です。
残りの「内側半分」は太陽のほうを向いている昼の部分ですから星は見えません。
どうでしょうか、季節によって見える星座が移り変わっていく事のイメージはつかめたでしょうか?
イラストも参考にしながら考えてみてください。

イラストはサイト「ウェザーニュース」から取得。
☆むらぼしの便り☆(No.94)・・・春の星座をご紹介〜〜しし座〜〜天を駆けるライオン
見ごたえのある春の星座のひとつに「しし座」があります。しし(獅子)とはライオンのことですね。
4月上旬のこの時期、夜8時ごろ、しし座は南の空、天の赤道の少し北側にあります。
建物や樹木などで隠れてしまう低空ではなく、かといって仰ぎ見なければならない天頂でもなく、ちょうど観やすい高度です。
しし(獅子)が走っているところを真横から見たような姿です。

頭から前脚の付け根あたりまでの星の並びは【?】つまりクエッションマークを裏返したような特徴的な形をしています。
?マークの一番下でひときわ明るい星が輝いています。一等星の「レグルス」です。
しし座の一番左の方に視線を移すと尻尾です。
尻尾の先にも明るい星があり、こちらは二等星「デネボラ」といいます。この名前はアラビア語で「尻尾」を意味します。
ししの後ろ脚の太モモあたりにはM65・M66・NGC3628の3つの銀河があり、「しし座の三つ子銀河」と呼ばれています。

天気の良い夜には、南の空に天を駆ける獅子(ライオン)を探してみてはいかがでしょうか。
☆むらぼしの便り☆(No.93)・・・月や惑星・太陽はどうやって生まれた?
前回(3月7日)は月にまつわる風習や言い伝えについて書きました。
月を双眼鏡や望遠鏡で観察するととても面白いです。
私たちを魅了するのは無数にあるゴツゴツしたクレーターや”海”とよばれる周囲よりも暗い部分があるなど、月面の豊かでダイナミックな表情です。
では、そんな月はどうやって生まれたのでしょうか?
但し、月の誕生は地球をはじめとする惑星、また太陽の誕生とも切っても切れないので、月だけでなく惑星と太陽の誕生についても触れようと思います。
太陽は約46億年前、宇宙空間に漂うガスと僅かなチリが互いの重力で引き合って寄り集まって誕生しました。
ガスがある程度のかたまりになったとき、内部で”核融合”という莫大なエネルギーを放出する反応が始まり、太陽が輝き始めました。
“核融合”は現在まで絶えず続いてきて、私たちの地球にも光のエネルギーを届け続けてくれています。
太陽が産声を上げる元になったガスやチリはゆっくりと回転していたので、原始太陽の周りには一時期、回転する円盤(ディスク)が作られました。
その様な円盤は近年の観測で太陽系の外部で見つかっていて、まさに太陽系のような惑星系が誕生しつつある場面を観ているものと考えられています。
(下の画像はその様な円盤のひとつ「おうし座HL星」で、南米のアルマ(ALMA)電波望遠鏡で発見されました。)
その円盤の中のチリが互いの重力で引き合って合体し、”微惑星”とよばれるかたまりへと成長していきました。さらに微惑星と微惑星は原始太陽の周りを回りながら衝突・合体して”原始惑星”つまり惑星の赤ちゃんとなりました。
いわゆる”岩石惑星”(水星・金星・地球・火星)はこの様にして誕生しました。
木星またそれより外側を回る惑星たちはさらにガスや氷を身にまとうことで巨大な”ガス惑星”(木星・土星)や ”氷惑星”(天王星・海王星)となりました。
さて、月についてです。
原始惑星のひつとして地球が生まれたとき、別の原始惑星がぶつかってきました。そして、衝撃で粉々になって多数のかけらが生じました。そのかけらが地球の周りを回りながら再度集まってひとつになり、月が誕生しました。
このシナリオは「ジャイアント・インパクト説」とよばれています。
月が誕生した後もその表面は多数の隕石の衝突にさらされたので、現在観られるような多数のクレーターがができました。
またその後、大きな隕石が月に衝突したことで月内部のマグマが表面にあふれ出し、冷えて固まり月の”海”になりました。
ふだん見上げている月の誕生のストーリーを知ると、より一層、月への興味が引き立てられます。

アルマ(ALMA)電波望遠鏡で撮影されたおうし座HL星(Wikipediaから取得)
☆むらぼしの便り☆(No.92)・・・次の皆既月食は?&月にまつわる風習や言い伝え
3月3日の雛祭りの日に起きた皆既月食は雨天のため観ることが出来ませんでした。
残念ですが、次の皆既月食に期待したいですね。
次の皆既月食は3年後の元旦、2029年1月1日です。
年が明けた直後、0時07分から欠け始めるという面白いタイミングで起こります。
さて、今回は月にまつわる風習や言い伝えについても簡単に触れてみたいと思います。
まず思い起こすのは”太陰暦”という古い暦です。
現在は太陽に基づいた”太陽暦”に置き替わっていますが、月のたいへんに規則的で分かりやすい満ち欠けを利用した”太陰暦”は世界各地で用いられていました。
日本でも明治の初めまで使われていた暦は”太陰暦”でした。
それだけでなく、三日月→満月→新月と経た後にまた三日月となって復活する様子から、月は世界のあちこちで不死再生の象徴と見られていました。
満月は月の生命力が最高潮に達するときです。
日本では秋には十五夜とか中秋の名月と呼んでお供物をして月を拝みます。
他方で西洋では、月光に煌々と照らし出される満月の夜は不吉なものと捉えられて、狼男などの伝説が生み出されました。
洋の東西によって満月に対して前向きの捉え方と後ろ向きの捉え方というふうに正反対なのは面白いですね。

※ 画像はWikipediaから取得。
☆むらぼしの便り☆(No.91)・・・星空を眺めるときのちょっとしたポイント
季節はめぐり芽吹きの頃を迎えています。
星空も冬から春へと星や星座の選手交代です。
いそがしい日常にひと息入れることもわすれてしまいそうになる方もいるかと思います。
そんなときにこそ、星空を見上げてみるのは如何でしょうか?
星がよく見える田舎の方に行かなくても、都会でもちょっとした工夫次第で星を見て楽しむことはできます。
以下、星空を眺めるときのちょっとしたポイントを書いてみたいと思います。
1. 余分な光を避ける工夫をする。
人間の眼は星から届くとても弱い光でも感知できる能力を持っています。
しかし、街灯などの強い光が邪魔をすると星は見えなくなります。
人間の眼は瞳孔によって網膜に届く光の量を調節しています。瞳孔はカメラに付いている”絞り”と同じようなものだと思えばよいでしょう。暗い場所では瞳孔が開き、かすかな星の光も捉えることができますが、星以外に強い人工の光が眼に飛び込んでくると瞳孔は絞られ、星の光は見えにくくなります。
街灯などの人工の光が少ない場所を選んだり、近くに街灯はあっても建物などで光が遮られる場所を選ぶといった工夫をするとよいでしょう。
また、眼が暗い場所に慣れるまでには少し時間がかかります。
星空が観られる暗い場所に出たら、「あの辺りには何座が見えているのかな」など想像しながらゆったりした気持ちでまずは5分間、空を眺めてみましょう。眼が暗さに慣れるに連れてだんだんと見える星が多くなっていきます。
2. ちょっと「事前学習」をしておく。
星空は眺めているだけでも癒されます。
しかし、「この星とこの星とこの星とを結ぶと◯◯座」「あの明るい星は◯◯座の◯◯」など少し知識を得ていくと星空の楽しみ方が格段に増すこともまた間違いありません。
星空観察について書かれた本を買って読んでみるほか、ネットで検索してみるのもそれなりの知識を得ることができるでしょう。
但し、それらの本などを星空観察の現場に持ち出して活用するのは難しいことです。
本を見るためにずっと下を向いていては折角の本物の星空をなかなか見上げられず、心穏やかでは居られません。
何よりも暗い場所で本などを懐中電灯で照らしながら見るのは困難が伴います。
一番のおすすめは、星空観察に出かける前に、少なくとも今晩観ることのできる星座や星について下調べをしておくことです。
きっと、星空にもっと親しみを持てるようになること請け合いです!
3. 便利なアイテムを用意する。
星空は何も道具が無くても充分楽しむことができますが、手元にあれば便利なアイテムが幾つかあります。
・懐中電灯
・星座早見盤
・双眼鏡
とくに懐中電灯は安全面では必須アイテムです。1.で述べた「余分な光を避ける」こととの関連で、できれば赤いフィルムを貼って赤い光を出すようにしておくと、眼の網膜への刺激が少なくて良いです。
星座早見盤は2.の「事前学習」と矛盾するようですが、星座の星の並びを探す際はどうしても手元の図と照らし合わせてみる(やはり赤い光の懐中電灯を使うとよいです)ことが必要になりますので、重宝するアイテムです。
また、星座を探す際には低倍率で視野が広い双眼鏡があると便利です。
とくに街明かりで星の光がかき消されてしまっていても双眼鏡では観ることができる場合も多く、双眼鏡が威力を発揮します。
最後に、星空観察をする際には暮れ暮れも安全対策をきちんとしましょう。
明るいときに、地面は平らなのか、つまずくような物は無いかなど、確認するようにしましょう。
皆さんがそれぞれに星空を楽しんでいただければこれに勝ることはありません。
※ 今回の記事は『星空案内人になろう!』(柴田晋平ほか著)第5章を参考にまとめました。

☆むらぼしの便り☆(No.90)・・・水星を探してみよう〜2月20日に東方最大離角に〜
水星を観たことがあるでしょうか?
太陽の周りをまわる惑星の一つです。
惑星といえば、よくお目にかかるのは金星・火星・木星が多いのではないかと思います。
金星は”宵の明星(みょうじょう)”とか”明けの明星”の名前で知られるとおり、夕暮れ時の西の空や明け方の東の空でとても明るく光ります(UFOが現れたのではと騒がれたこともあったという話も)。
火星も地球に接近する際には、赤く明るく光る姿が印象的です。
木星も夜空に出ていれば明るく目立ち、見つけやすいです。
では水星はといえば、観たことがある人は少ないかもしれません。
それには理由があります。
水星は地球よりも内側をまわる「内惑星」です(あと金星も内惑星です)。
しかも、太陽の一番近い軌道をまわっているのが水星なのです。
ということは、「水星を観ようとしても明るく輝く太陽に近いから観にくい」ということなのです。
火星や木星などの「外惑星」は地球よりも外側の軌道をまわっているので、地球からみて太陽の正反対の位置にくることもあります。
私たちが地球から観る場合、真夜中でも見えるということですね。
でも、内惑星である水星はそうはいきません。
下の図から解るように、角度でみて水星が太陽から離れるのには限度があります。

ただ、この”限度”を迎えたタイミングは「東方最大離角」「西方最大離角」といって水星が比較的観やすくなります。
水星は2月20日(金)に東方最大離角の位置に来ます。
見つけるチャンスです!
注意して頂きたいのは、「東方最大離角」といっても水星が東の空に見える訳ではないということです。
今回、水星は夕暮れ時の西の空に見えます。
「東方最大離角」とは「太陽に対して東寄りの空にいる」ということです。
なので、太陽が沈んだすぐあとに西の空の地平線すれすれを探してみてください。
水星を見つけられるかもしれません。
(西の空がひらけている場所を選んでください)
東方最大離角とはいっても角度にして太陽と18°しか離れていないので、太陽が沈んでからあまり時間を置かないで水星も西の地平線に沈んでしまいます。
水星を見つけるには日没直後の短い時間が勝負になります。
2月19日には水星は細い月のすぐ下にいるので見つけやすいかもしれません。
しかも、-0.5等と結構明るいのです。
初めて水星を観ることが出来るだけでも感動すること請け合いです。

☆むらぼしの便り☆(No.89)・・・ひな祭りに皆既月食
2026年3月3日(火)、ひな祭りのこの日の夜、皆既月食が起こります。
昨年9月の皆既月食以来、約半年ぶりです。
月食とは、「太陽―地球―月」の順で一直線に並ぶことによって、地球の影が月の表面に落ちる現象です。
つまり、月食が始まりだんだんに月が欠けていくとき、私たちは月面に地球の影を観ているということです。
その昔、人びとが地球は平らだと信じていた時代がありましたが、「地球は丸い」ことの証拠は月食のときに人びとの目の前にあったということです。
月食の中でも月が完全には欠けない場合は「部分月食」と呼び、完全に欠けてしまう場合は「皆既月食」と呼んで区別しています。
但し、皆既月食であっても月が完全に見えなくなってしまうことはありません。
皆既月食の最中は赤銅色(しゃくどういろ)の月が空に浮かんでいます。
これは、地球の表面をかすめていって月に届く太陽光は、一旦地球の大気を通り抜けていきますが、そのときに赤い光以外は散乱させられて飛ばされ、赤い光だけが月面に届くからです。
地球の火山で大噴火が起きた後は微粒子が大気中に含まれているために、その時に起きる皆既月食は通常に比べて暗い皆既月食になってしまうことがあります。
ちなみに、「太陽―月―地球」の順で一直線に並んだ場合は日食が起きます。つまり、地球からみて月が太陽の手前にくることで太陽を一時的に覆い隠す現象が日食です。
日食の場合は、観測する人が地球上のどこに居るかによって部分日食だったり皆既日食になったりと見え方が変わりますが、月食とは地球の影が落ちる現象なので、地球上の観る場所によって見え方が変わることはありません。
3月3日に起きる月食は18時50分に東の空で欠け始め、20時04分に皆既月食となります。約1時間にわたって皆既月食が続きますが21時03分に終わります。22時18分には月食は南東の空で終わり、通常の満月に戻ります。
今回の皆既月食はあまり夜更かししなくても観ることのできる時間帯です。
ぜひこのチャンスに皆既月食を観てみませんか?
